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トラッキング付き非化石証書の仕組みやメリットについて詳しく解説


トラッキング付き非化石証書の仕組みやメリットについて詳しく解説

2021年11月から、一般企業も「FIT非化石証書」の取引が可能になりました。[1]
その中でも、トラッキング付きの非化石証書を購入すれば、RE100をはじめとした企業連合への参加条件を満たせます。

非化石証書のトラッキングは、今後見直しが検討されているため、最新の情報を確認してください。本記事では、今注目を集めるトラッキング付き非化石証書について、その仕組みやメリット、今後の見直しポイントを分かりやすく解説します。

[1]環境省:はじめての再エネ活用ガイド(企業向け)

 

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<目次>

1.トラッキング付き非化石証書の仕組み

2.メリットはある?トラッキング付き非化石証書の特徴

3.非化石証書トラッキングの見直しポイント

4.【まとめ】トラッキング付き非化石証書の仕組みや今後の見直しポイントを確認しよう


 

トラッキング付き非化石証書の仕組み

トラッキング付き非化石証書の仕組み

非化石証書とは、化石燃料を使わないエネルギー(=非化石電源)の環境価値を証書化し、日本卸電力取引所(JEPX)のオークションを通じて購入できるようにしたものを指します。2021年11月には、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスの再エネ電源を対象とした「FIT非化石証書」の取引が開始されました。[1]
既存の電力契約を変更せず、再エネ電力の比率を実質的に高められる手段として、環境意識の高い企業から注目を集めています。

非化石証書の中でも、発電所の情報などが付与されている証書のことをトラッキング付き非化石証書と言います。ここでは、トラッキング付き非化石証書の種類や、今後噂される有償化の方針について簡単に説明します。

 

これまでの非化石証書とどう違う?

トラッキング付き非化石証書とは、従来の非化石証書に対し、発電所の所在地などの情報を紐付けたものを指します。トラッキング付き非化石証書を購入すると、非化石証書に付与された情報を通じて、どのような過程で再エネ電力が作られているかを追跡することが可能です。例えば、JEPXで取引される非化石証書を例に挙げると、以下のような情報が見える化されています。[2]

 

  • 設備ID
  • 発電設備区分
  • 発電設備名
  •  設置者名
  • 発電出力(kW)
  • 認定日
  • 運転開始又は予定日
  • 設備の所在
  • 割当量(kWh)

 

これまでは非化石証書を購入しても、再エネ電源の種別や、発電所の所在地などの情報は利用者から見えない状態になっていました。非化石証書のトラッキング導入により、さまざまな情報が可視化された結果、企業が「どの発電所でどのように発電された電力を購入しているのか」を対外的に説明できるようになりました。

[2]JEPX:非化石証書のトラッキングに関する事業者向け説明資料(仲介事業者対象)

 

トラッキング付き非化石証書の種類は?

非化石証書といっても、実際には以下の3種類があります。

 

非化石証書の種類 主に対象となる電源
FIT非化石証書 FIT電源(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)に由来する電源
非FIT非化石証書(再エネ指定あり) FIT電源以外の再エネ電源(大型水力、卒FITなど)に由来する電源
非FIT非化石証書(再エネ指定なし) 化石燃料を使用しないが、再エネではない電源(原子力など)に由来する電源

 

トラッキングが行われるかどうかは、この非化石証書の種類によって変わってきます。

 

非化石証書の種類 トラッキング
FIT非化石証書
非FIT非化石証書(再エネ指定あり)
(希望する場合のみ)
非FIT非化石証書(再エネ指定なし) ×

 

例えば、FIT非化石証書は、2021年11月の制度変更によって、その全量がトラッキング化されました。一方、再エネ指定ありの非FIT非化石証書は、発電事業者の同意がなければトラッキングが行われません。また再エネ指定のない非FIT非化石証書は、そもそもトラッキングの対象ではないため、非化石証書の種類に注意してください。[3]

[3]資源エネルギー庁:非化石価値取引について(2023年9月11日)

 

トラッキング付き非化石証書の有償化

FIT非化石証書のトラッキングにかかる費用は、現在は国が負担しており、購入者の費用負担はありません。しかし、トラッキング付き非化石証書の需要の高まりを受けて、トラッキングの有償化が検討されています。もしトラッキングの有償化が決定された場合、一定の周知期間を経た後、トラッキング費用の徴収が始まる予定です。

 

メリットはある?トラッキング付き非化石証書の特徴

メリットはある?トラッキング付き非化石証書の特徴

通常の非化石証書と比べると、トラッキング付き非化石証書には3つのメリットがあります。

 

  • CO2排出量を削減できる
  • RE100に活用できる
  • 環境への配慮をアピールできる

 

特にRE100への加盟を目指す方は、再エネ比率を高める上で、トラッキング付き非化石証書を有効活用できます。

 

CO2排出量を削減できる

非化石証書を購入することで、CO2排出量の削減につながります。実際の電力契約に変更がなくても、非化石証書を購入した分の電力が、実質的に非化石電源へ置き換えられたものとしてみなされるためです。

特にトラッキング付きの非化石証書は、電源の種別などの情報が可視化されており、投資家を含めたステークホルダーにとっても安心感が得られるというメリットがあります。

 

RE100に活用できる

RE100(Renewable Energy 100%)とは、使用する電力を100%再エネに置き換えることを目指す国際的な企業連合です。近年は環境意識の高まりから、投資判断においてRE100に加入しているかどうかを重視する機関投資家が増えています。

トラッキング付きのFIT非化石証書は、このRE100に対応しています。非化石証書を購入した分の電力をRE100に対して報告し、再エネ100%の達成目標に加算することが可能です。

 

環境への配慮をアピールできる

従来の非化石証書からは、「非化石電源を調達した」という情報しか分かりません。トラッキング付き非化石証書を購入することで、投資家などのステークホルダーに対し、自社が調達する再エネ電源の種別などの情報を訴求できます。環境への配慮をより効果的にアピールできるという点で、トラッキング付き非化石証書のニーズが急速に高まっています。

 

非化石証書トラッキングの見直しポイント

非化石証書トラッキングの見直しポイント

資源エネルギー庁は、非化石証書のトラッキングに関して、大幅な制度変更を検討しています。今回、見直しの対象となっているのは、以下の3つのポイントです。

 

  •  トラッキング対象の変更
  •  市場を介さない取引に関する検討
  • 入札方法の変更

 

特に非FIT非化石証書の購入を検討している方は、制度変更の影響を大きく受ける可能性があります。

 

トラッキング対象の変更

まず非化石証書のトラッキング対象の拡大が検討されています。現在の制度では、3種類の非化石証書のうち、FIT非化石証書のみが全量トラッキングの対象となっています。

 

市場を介さない取引に関する検討

小売電気事業者は、既存のFIT制度の市場を介さず、再エネ電力を調達する場合があります。[3]

 

  •  特定卸供給
  •  小売買取

 

こうした取引形態の場合、現在の制度では、特定卸供給者、小売買取義務者に対してのみトラッキング情報が付与されています。今後、市場を介さない取引についても、トラッキングの仕組みの見直しが検討されています。

 

入札方法の変更

小売電気事業者を対象として、非化石電源の入札方法に関する変更も予定されています。新しい制度では、小売事業者が発電事業者に対し、非化石電源を入札するタイミングで、どのような属性情報をトラッキングして欲しいかを示す必要があります。ただし、事務手続きの増大などが懸念されるため、具体的な制度設計については今後の検討課題の一つです。

 

【まとめ】トラッキング付き非化石証書の仕組みや今後の見直しポイントを確認しよう

トラッキング付き非化石証書とは、従来の非化石証書にさまざまな情報を付与し、電気が作られる過程を見える化したものです。トラッキング付きのFIT非化石証書を購入すれば、RE100の認定要件を満たすこともできるため、環境意識の高まりに合わせて需要が増大しています。

トラッキング付き非化石証書は、今後制度の見直しが予定されているため、資源エネルギー庁やJEPXのホームページを通じて最新の情報を入手しましょう。

 

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