企業のカーボンフットプリント測定と環境戦略の最前線

2025.02.26
2025.02.26
記事をシェアする

地球温暖化や気候変動が深刻な問題として認識される中、企業における環境負荷の削減が求められています。その中でも「カーボンフットプリント(CFP)」の測定と、それに基づく環境戦略の策定は、持続可能なビジネスの実現に不可欠な要素となっています。本コラムでは、カーボンフットプリントの測定方法と、企業が取り組むべき具体的な環境戦略について詳しく解説します。特に、業務用電力の選択や資源循環の推進といった実践的なアプローチに焦点を当て、最新の事例やデータを交えながらご紹介します。

カーボンフットプリントとは?

定義と重要性

カーボンフットプリント(Carbon Footprint)とは、製品やサービスのライフサイクル全体における温室効果ガス(特にCO₂)の排出量を定量的に評価したものです。企業や個人が生活や事業活動を通じて、どれだけの温室効果ガスを排出しているかを量る指標です。この指標を正確に把握することで、環境に与える影響を明らかにし、それを減らすための具体的な行動につなげることができます。持続可能な社会を目指す上で、企業や個人が自身の「足跡」を知り、改善していくことは非常に重要です。取り組みを意識し実施することで、持続可能なビジネスモデルの構築や、消費者・投資家からの信頼獲得が期待できます。

▶下記の記事も併せて参考にご覧ください。
脱炭素経営の意味・メリットや取組みの流れをわかりやすく解説

測定の方法

カーボンフットプリントを測定するには、まず企業活動の範囲を明確に定め、その範囲内でのエネルギー消費量や物流データなどを収集します。次に、これらのデータに基づき、活動が引き起こすCO₂排出量を計算し、その結果を報告書にまとめます。この報告書は、第三者機関による検証を受けることで、その信頼性が高まります。

カーボンフットプリントの測定には、以下のステップが含まれます。

  1. 境界の設定:企業活動の範囲を定義します。
  2. データの収集:エネルギー消費量や物流データを収集します。
  3. 排出係数の適用:収集したデータに基づき、各活動からのCO₂排出量を計算します。
  4. 報告と検証:結果を報告し、第三者による検証を受けます。

カーボンフットプリントの測定手法

スコープ1、2、3の分類

カーボンフットプリントは、主に以下の3つのスコープに分類されます。

スコープ説明
スコープ1直接排出 – 企業が所有・管理する設備からの排出
スコープ2間接排出 – 購入した電力・熱・蒸気の使用による排出
スコープ3その他の間接排出 – サプライチェーン全体にわたる排出

測定ツールとガイドライン

ISO 14064やGHGプロトコルなどの国際標準に基づいたガイドラインが存在します。また、専用のソフトウェアやオンラインツールを活用することで、効率的な測定が可能です。さらに、企業内でのデータ管理体制の整備や、従業員への啓蒙活動も重要です。

企業の環境戦略におけるカーボンフットプリントの活用

エネルギー効率化の推進

エネルギー効率化は、カーボンフットプリント削減の基本的なアプローチです。具体的には、断熱窓への改修や高効率給湯器の導入、LED照明への切り替えなどが挙げられます。これにより、エネルギー消費量を削減し、CO₂排出量の低減が図れます。また、定期的なエネルギー監査を実施し、無駄なエネルギー使用の発見と改善を行うことも効果的です。

再生可能エネルギーの導入

再生可能エネルギーの導入は、企業のカーボンフットプリントを大幅に削減する手段です。例えば、太陽光発電や風力発電の導入、グリーン電力証書※1の購入などが考えられます。再生可能エネルギーを利用するためには、新電力会社への切り替えも一つの方法です。また、新電力に切り替えたからといって必ずしも再生可能エネルギーが利用できるわけではありません。丸紅新電力では、これらの選択肢に対する様々なサポートを提供しています。さらに、自社での再生可能エネルギー設備を設置することで、エネルギー自給率の向上にも貢献できます。

▶※1:下記の記事も併せて参考にご覧ください。
グリーン電力証書とは?非化石証書・J-クレジットとの違いを徹底解説
カーボンクレジットとは?仕組みや価格、企業のデメリットを紹介

資源循環と循環型ビジネスモデル

資源循環は、廃棄物の削減と資源の有効活用を促進します。産官学連携での資源循環市場の創出・確立を通じて、循環型ビジネスモデルの構築が進められています。これにより、使用済み資材の再利用やリサイクルが促進され、カーボンフットプリントの低減に寄与します。また、製品設計段階からリサイクルを考慮したデザインを採用することで、廃棄物の発生を最小限に抑えることが可能です。

業務用電力の選定とカーボンフットプリント

業務用電力の定義と選び方

業務用電力とは、主に法人向けに供給される電力のことを指し、オフィスビルや商業施設、工場などに供給されます。業務用電力の選定においては、複数の電力会社から見積もりを取り、契約電力や料金プランを比較することが重要です。特に、再生可能エネルギーを多く取り入れたプランを選ぶことで、カーボンフットプリントの削減に貢献できます。以下の表は、業務用電力の選定ポイントをまとめたものです。

選定ポイント説明
再生可能エネルギー比率再生可能エネルギー由来の電力の割合が高いプランを選ぶ。
料金プラン自社の電力使用パターンに合った料金プランを選定し、コスト効率を向上。
電力供給の安定性電力供給の安定性や信頼性を確認し、事業運営に支障が出ないようにする。
サービス内容電力会社の提供するサービス内容やサポート体制を比較検討。

丸紅新電力への切り替えによる環境負荷の低減

新電力会社の中には、再生可能エネルギーを多く含むプランを提供している場合があり、これにより環境負荷を低減できる可能性があります。ただし、すべての新電力会社が再生可能エネルギーを主体とした電力供給を行っているわけではありません。丸紅新電力株式会社も、再生可能エネルギーの比率を高めた選択肢を提供しており、企業のカーボンフットプリント削減をサポートするプランを用意しています。

>> 【法人のお客様向け】再生可能エネルギー由来の電力を組み合わせた環境配慮型電力プラン

メリット説明
環境負荷の低減再生可能エネルギー由来の電力利用またはお客様にあったオリジナルの再エネプラン提案により、CO₂排出量を削減。
コスト削減競争力のある料金プランにより、電力費用を抑制。
企業イメージの向上環境に配慮したプランの選択により、企業の社会的責任(CSR)を果たし、企業イメージの向上を図ることができます。
柔軟な契約条件短期契約やカスタマイズ可能なプランなど、多様なニーズに対応。

まとめと今後の展望

カーボンフットプリントの正確な測定と、それに基づく環境戦略の策定は、企業の持続可能な成長に欠かせない要素です。エネルギー効率化や再生可能エネルギーの導入、資源循環の推進といった具体的な取り組みを通じて、企業は環境負荷を効果的に低減し、地球温暖化防止に貢献できます。加えて、最新の電力需要の動向を踏まえ、デジタルトランスフォーメーション(DX)とGX(グリーントランスフォーメーション)を融合させた新しいビジネスモデルの構築が重要となります。
今後、技術革新や政策支援を活用しながら、柔軟かつ積極的な環境戦略の展開が求められます。特に、人口減少や省エネの推進により家庭部門の電力需要は減少が予測される一方で、データセンターや半導体工場の新増設による産業部門の電力需要は大幅に増加する見通しです。このような変化に対応するためには、企業は持続可能なエネルギー使用と効率的なリソース管理を両立させる必要があります。
企業が持続可能な未来を築くために、カーボンフットプリントの測定と環境戦略の連動は、ますます重要性を増していくことでしょう。これにより、企業は社会的責任を果たすと同時に、競争力を維持・向上させることが可能となります。

記事をシェアする