業務用電力とは?単価や選び方をわかりやすく解説
電力会社で作られた電力は、一般家庭からビルや工場まで、さまざまな場所に供給されています。こうした電力のうち、主に法人向けに提供されるものの一つが業務用電力です。
料金単価は電力会社によって異なるため、なるべく複数社に見積りを依頼し、自社に最も合ったプランを選択しましょう。
本記事では、業務用電力の定義や一般的な料金単価、自社に合ったプランの選び方について解説します。
>> 【法人のお客様向け】高圧・特別高圧の電力プランはこちら
目次
業務用電力とは?
旧一般電気事業者は、法人向けに業務用電力・産業用電力の2つの区分で電力供給を行っています。
その一つである業務用電力 とは、主にビルや商業施設などを対象とした契約種別です。例えば、オフィスビルや病院、百貨店、スーパー、ショッピングセンター、ホテルなどに供給される電力が、業務用電力として区分されています。
一方、産業用電力とは、主に中規模以上の工場などに供給される契約種別です。
契約種別 | 対象需要家 |
電灯契約 | 一般家庭など |
業務用電力 | オフィスビルや病院、百貨店、スーパー、ショッピングセンターなどの店舗や商業施設 |
産業用電力 | 中規模以上の工場など |
旧一般電気事業者のホームページでは、このように業務用電力(店舗・商業施設向け)、産業用電力(中規模以上の工場向け)の大きく2つの区分で料金プランが用意されているため、自社の契約がどちらに該当しているのか請求書を確認してみてはいかがでしょうか。
一般的な業務用電力のプラン
一般的な業務用電力 のプランは、契約電力に応じて、電圧ごとに高圧電力と特別高圧電力に分かれています。(以下区分イメージ)
- 高圧電力(契約電力:50kW以上、受電電圧6,000V)
- 特別高圧電力(契約電力:2,000kW以上、受電電圧20,000V以上)
また業務用電力 に限らず一般的な各プランは、電気を使用する季節や時間帯に応じて、電力量料金の単価(1kWh当たりの料金)が異なります。一般的に電力需要が大きい夏季や平日昼間のピーク時間は料金単価が高く設定されており、逆に夏季以外の季節(その他季)や日曜・祝日、平日夜間は電力需要が少なく、夏季に比べ料金単価は安く設定されているためお得に電気を使うことが可能です。
電力会社によっては、日曜・祝日や平日夜間の電気使用量が多い施設を対象として、さらに単価を引き下げたプランを用意している場合もあります。
つまり、一般的な業務用電力のプランを表にすると、以下のような全体像になります。(一例)
業務用電力の区分(受電電圧) | プラン |
高圧電力(契約電力:50kW以上) | 業務用電力 |
業務用季節別時間帯別電力 | |
特別高圧電力(契約電力:2,000kW以上) | 特別高圧電力A |
特別高圧季節別時間帯別電力A |
※東京電力エナジーパートナーの電気料金プランの場合
業務用電力の単価
業務用電力の単価について調べるときに知っておきたいのが、毎月の電気料金は契約電力に基づく基本料金と、使用電力量に基づく電力量料金、そして再エネ賦課金の3つで構成されているという点です。この基本構成は業務用電力の電圧区分(高圧電力・特別高圧電力)によって変わるものではありません。
各電力会社の業務用電力の単価を比較するときは、基本料金の単価と電力量料金の単価の2点をチェックしましょう。旧一般電気事業者における業務用電力プランの料金単価は以下のとおりです。(以下一例)
電力会社 | 基本料金(1kW) | 電力量料金(1kW) |
北海道電力 (業務用電力) | 2,642.60円 ※2024年4月1日以降 | 23.29円 ※2024年4月1日以降 |
中部電力ミライズ (業務用プラン・高圧業務用電力FR) | 1,716.26円 | 20.74円(夏季) 19.65円(その他季) |
東京電力エナジーパートナー (業務用電力・契約電力500kW未満) | 1,890.00円 ※2024年4月1日以降 | 23.58円(夏季) 22.42円(その他季) ※2024年4月1日以降 |
九州電力 (業務用電力A・6,000ボルト) | 2,142.78円 ※2024年4月1日以降 | 13.38円(夏季 )12.45円(その他季) ※2024年4月1日以降 |
沖縄電力 (業務用電力) | 1,964.60円 | 32.74円(夏季) 31.25円(その他季) |
季節や時間帯によって単価が異なるケースもある
電気料金の単価は、季節や時間帯によって異なるという点に注意が必要です。先ほどの表を見ても、ほとんどの電力会社において夏季(7月1日から9月30日)とその他季(夏季以外の期間)で料金単価が分かれています。
また、電力会社の料金プランによっては、電力需要が少ない休日や夜間の料金単価が引き下げられるケースもあります。電気料金を節約したい方は、料金単価がお得な料金プランを選びましょう。
自社に合った業務用電力を選ぶポイント
自社に合った業務用電力を選ぶポイントは2つあります。
- 複数の電力会社を比較する
- 料金以外の付加価値も考慮する
複数の電力会社を比較する
また一社ではなく、複数の電力会社に見積りを依頼しましょう。電気の使い方や対象エリア、供給を開始するタイミングなどによって、電気料金の見積り結果は変わってきます。複数の電力会社を比較することで、最もお得な料金プランを見つけることができます。
新電力は主に、他の発電事業者から電力を購入し、需要家に供給する小売電気事業者です。発電設備を保有しない新電力会社に関しては、発電設備の維持管理コストが電気料金に上乗せされないため、地域電力会社よりも電気料金が割安になる可能性があります。
料金以外の付加価値も考慮する
最後に、料金以外の付加価値も考慮しましょう。
近年は環境意識の高まりから、再生可能エネルギーに由来する電力を事業活動に利用する企業が増えてきました。再エネ電力の比率は、電力会社によって異なります。電力会社の中には、太陽光・バイオマス・小水力・風力などの再エネ電力の取扱い実績が豊富な事業者も存在します。
環境貢献活動に興味がある方の場合は、電力会社の電源構成にも着目しましょう。
【まとめ】業務用電力の単価を考慮し、自社に合ったプランを選ぼう
業務用電力とは、オフィスビルや工場など、法人向けに供給される電力の契約種別です。
一般的な電力の料金は、基本料金・電力量料金・再エネ賦課金の3つの要素で構成されます。業務用電力を契約する場合は、電力会社によっては、週末や夜間だけ料金単価が安くなるような料金プランもあるため、
基本料金や電力量料金の単価を比較し検討しましょう。
電気料金を抑えるなら、旧一般電気事業者だけでなく新電力も含め、複数の事業者を比較検討することが大切です。再エネ電力の取扱い実績といった、電力料金以外の付加価値も考慮して、自社に合った事業者を選びましょう。