SDGsの目標7の内容は?クリーンエネルギーの取り組み事例を紹介
2015年の国連サミットにおいて、SDGs(持続可能な開発目標)が全会一致で可決されました[1]。
SDGsへの取り組みは、さまざまな社会問題や環境問題の解決に貢献するだけでなく、企業にとってはビジネスチャンスの拡大につながります。特にSDGsの目標7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」は、企業イメージの向上や新たな投資の獲得など、企業価値の向上が期待できます[1]。
本記事では、今注目が集まるSDGsの目標7の内容やターゲット(具体的な目標)、クリーンエネルギーに関する取り組み事例を紹介します。
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目次
持続可能な開発目標・SDGsとは?
SDGs(Sustainable Development Goals)とは、日本語では持続可能な開発目標と呼ばれ、「持続可能でよりよい社会の実現を目指す世界共通の目標」です。SDGsは「誰一人取り残さない(leave no one behind)」をスローガンに掲げ、2030年を達成までの期限として、17のゴール(目標)と169のターゲット(具体的な目標)を設定しています[1]。
SDGsが採択される以前は、主として開発途上国向けの国際目標として、8のゴールと21のターゲットで構成されるMDGs(ミレニアム開発目標)が存在していました[1]。2015年からスタートしたSDGsでは、開発途上国だけでなく先進国も対象として、すべての国が取り組むべき普遍的(ユニバーサル)な目標を定めています。
SDGsにおける17の目標
SDGsでは、貧困や飢餓、教育などの社会問題や、エネルギーや資源の枯渇、気候変動などの環境問題に対処するため、合計17の目標を設定しています[1]。
SDGsの17の目標 | スローガン |
目標1 | 貧困をなくそう |
目標2 | 飢餓をゼロに |
目標3 | すべての人に健康と福祉を |
目標4 | 質の高い教育をみんなに |
目標5 | ジェンダー平等を実現しよう |
目標6 | 安全な水とトイレを世界中に |
目標7 | エネルギーをみんなに、そしてクリーンに |
目標8 | 働きがいも経済成長も |
目標9 | 産業と技術革新の基盤をつくろう |
目標10 | 人や国の不平等をなくそう |
目標11 | 住み続けられるまちづくりを |
目標12 | つくる責任、つかう責任 |
目標13 | 気候変動に具体的な対策を |
目標14 | 海の豊かさを守ろう |
目標15 | 陸の豊かさも守ろう |
目標16 | 平和と公正をすべての人に |
目標17 | パートナーシップで目標を達成しよう |
こうした経済社会の広い範囲に関わる包括的な目標の中でも、クリーンエネルギーの導入を通じて、誰もが持続可能なエネルギーを利用できる社会の実現を目指すのが、目標7 「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」です[1]。
SDGsの目標7の内容
SDGsの目標7 「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」には、達成に向けて5つのターゲット(3つの達成目標と2つの取り組み)が設定されています。ここでは、目標7の内容やターゲットについて説明します。
目標7の内容
目標7の内容は、「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的なエネルギーへのアクセスを確保する」ことです[1]。
国連広報センター(UNIC)の2023年の報告書によると、世界では依然として、6億7,500万人が灯りのない生活をしています。そのうち5人に4人(2021年時点)はサハラ砂漠以南のアフリカで暮らしており、深刻な格差が残っているのが現状です[2]。
目標7は、そうした人々に安価で信頼でき、持続可能性の高い電気を届けることを目指しています。
[2]国連広報センター(UNIC)「SDGs報告2023:特別版」
目標7のターゲット(具体的な目標)
目標7を達成するため、国連総会において以下の5つのターゲット(具体的な目標)が採択されました[3]。
ターゲット | 内容 |
7.1 | 2030年までに、安価かつ信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスを確保する。 |
7.2 | 2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。 |
7.3 | 2030年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。 |
7.a | 2030年までに、再生可能エネルギー、エネルギー効率及び先進的かつ環境負荷の低い化石燃料技術などのクリーンエネルギーの研究及び技術へのアクセスを促進するための国際協力を強化し、エネルギー関連インフラとクリーンエネルギー技術への投資を促進する。 |
7.b | 2030年までに、各々の支援プログラムに沿って開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国、内陸開発途上国のすべての人々に現代的で持続可能なエネルギーサービスを供給できるよう、インフラ拡大と技術向上を行う。 |
7.1〜7.3までは、2030年までに達成すべき目標で、7.aと7.bではそのために必要な取り組みが示されています。
目標7の実現に欠かせないのが、クリーンで近代的な再生可能エネルギーの導入です。再生可能エネルギーは化石燃料に依存せず、使用されていない土地を活かして、半永久的に発電することが可能です。
また発展途上国では、約10億人が電力を使用できておらず、代わりに薪や木炭、糞、石炭などを利用し、屋内の空気の汚染が原因で30億人以上の健康に悪影響を及ぼしていると言われています[4]。
こうした問題の解決策として期待されているのが、手ごろな価格のクリーンエネルギーの普及です。
[3]外務省「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」
[4]国連広報センター(UNIC)「手ごろな価格のクリーン・エネルギーの普及はなぜ大切か」
クリーンエネルギーに関する取り組み事例
クリーンエネルギーの普及に向けた取り組みは、大きく3つに分けられます。
- 再生可能エネルギーの導入
- エネルギーの使い方の見直し
- 省エネ技術の導入
再生可能エネルギーの導入
1つ目の取り組みは、太陽光発電や風力発電、バイオマス、水力発電、地熱発電などの再生可能エネルギーの導入です。
再生可能エネルギーは二酸化炭素などの温室効果ガスや、健康被害の原因となる大気汚染物質を排出しません。そのため、エネルギー不足や大気汚染に苦しむ地域における持続可能なエネルギーシステムとして、再生可能エネルギーに注目が集まっています。
エネルギーの使い方の見直し
2つ目の取り組みは、エネルギーの使い方の見直しです。
国連広報センター(UNIC)によると、世界の電力に占める再生可能エネルギーの比率は、2020年の時点で約30%に上昇しました[5]。しかし、熱を供給するための熱源や、輸送手段における再生可能エネルギーの比率は、依然として低いままです。
再生可能エネルギーの比率を高めるため、エネルギーの使い方を見直し、さまざまな対策を行っていく必要があります。
- 再生可能エネルギーが生み出す熱(地熱や太陽熱など)を再利用する
- 二酸化炭素の排出量が少ない輸送手段を利用する[6]
[5]国連広報センター(UNIC)「持続可能な開発目標(SDGs)報告2023:特別版 概要」
[6]国土交通省 「運輸部門における二酸化炭素排出量」
省エネ技術の導入
3つ目の取り組みは、省エネ技術の導入です。
例えば、省エネにつながる建材・機器の導入や、エネルギーの使用状況を把握・制御し最適化するエネルギーマネジメントシステム(EMS)など、新しい省エネ技術が普及しつつあります。
省エネ技術を導入し、使用電力量を減らすことで、化石燃料に由来する電力の割合を減らし、スムーズに再生可能エネルギーへの移行が可能となります。
【まとめ】SDGsの目標7の内容を知り、クリーンエネルギーの比率を高めよう
SDGsの目標7 「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」は、クリーンな再生可能エネルギーの導入を通じて、世界中の人々が安価かつ信頼できるエネルギーにアクセスできるようにするための目標です[1]。
クリーンエネルギーは化石燃料を使用しないため、温室効果ガスを排出しません。クリーンエネルギーを導入することで、気候変動対策や大気汚染による健康被害の防止にもつながります。
また、クリーンエネルギーの比率を高めるには、企業が省エネ技術を導入し、使用電力量を減らす取り組みも大切になってきます。