SDGsの目標7の内容は?クリーンエネルギーの取り組み事例を紹介
2024.05.31
2024.05.31
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2015年の国連サミットにおいて、SDGs(持続可能な開発目標)が全会一致で可決されました[1]

SDGsへの取り組みは、さまざまな社会問題や環境問題の解決に貢献するだけでなく、企業にとってはビジネスチャンスの拡大につながります。特にSDGsの目標7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」は、企業イメージの向上や新たな投資の獲得など、企業価値の向上が期待できます[1]

本記事では、今注目が集まるSDGsの目標7の内容やターゲット(具体的な目標)、クリーンエネルギーに関する取り組み事例を紹介します。

[1]外務省「持続可能な開発目標(SDGs)と日本の取組」

>> 【法人のお客様向け】再生可能エネルギー由来の電力を組み合わせた環境配慮型電力プラン

持続可能な開発目標・SDGsとは?

SDGs(Sustainable Development Goals)とは、日本語では持続可能な開発目標と呼ばれ、「持続可能でよりよい社会の実現を目指す世界共通の目標」です。SDGsは「誰一人取り残さない(leave no one behind)」をスローガンに掲げ、2030年を達成までの期限として、17のゴール(目標)と169のターゲット(具体的な目標)を設定しています[1]

SDGsが採択される以前は、主として開発途上国向けの国際目標として、8のゴールと21のターゲットで構成されるMDGs(ミレニアム開発目標)が存在していました[1]。2015年からスタートしたSDGsでは、開発途上国だけでなく先進国も対象として、すべての国が取り組むべき普遍的(ユニバーサル)な目標を定めています。

SDGsにおける17の目標

SDGsでは、貧困や飢餓、教育などの社会問題や、エネルギーや資源の枯渇、気候変動などの環境問題に対処するため、合計17の目標を設定しています[1]

SDGsの17の目標スローガン
目標1貧困をなくそう
目標2飢餓をゼロに
目標3すべての人に健康と福祉を
目標4質の高い教育をみんなに
目標5ジェンダー平等を実現しよう
目標6安全な水とトイレを世界中に
目標7エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
目標8働きがいも経済成長も
目標9産業と技術革新の基盤をつくろう
目標10人や国の不平等をなくそう
目標11住み続けられるまちづくりを
目標12つくる責任、つかう責任
目標13気候変動に具体的な対策を
目標14海の豊かさを守ろう
目標15陸の豊かさも守ろう
目標16平和と公正をすべての人に
目標17パートナーシップで目標を達成しよう

こうした経済社会の広い範囲に関わる包括的な目標の中でも、クリーンエネルギーの導入を通じて、誰もが持続可能なエネルギーを利用できる社会の実現を目指すのが、目標7 「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」です[1]

SDGsの目標7の内容

SDGsの目標7の内容

SDGsの目標7 「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」には、達成に向けて5つのターゲット(3つの達成目標と2つの取り組み)が設定されています。ここでは、目標7の内容やターゲットについて説明します。

目標7の内容

目標7の内容は、「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的なエネルギーへのアクセスを確保する」ことです[1]

国連広報センター(UNIC)の2023年の報告書によると、世界では依然として、6億7,500万人が灯りのない生活をしています。そのうち5人に4人(2021年時点)はサハラ砂漠以南のアフリカで暮らしており、深刻な格差が残っているのが現状です[2]

目標7は、そうした人々に安価で信頼でき、持続可能性の高い電気を届けることを目指しています。

[2]国連広報センター(UNIC)「SDGs報告2023:特別版」

目標7のターゲット(具体的な目標)

目標7を達成するため、国連総会において以下の5つのターゲット(具体的な目標)が採択されました[3]

ターゲット内容
7.12030年までに、安価かつ信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスを確保する。
7.22030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。
7.32030年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。
7.a2030年までに、再生可能エネルギー、エネルギー効率及び先進的かつ環境負荷の低い化石燃料技術などのクリーンエネルギーの研究及び技術へのアクセスを促進するための国際協力を強化し、エネルギー関連インフラとクリーンエネルギー技術への投資を促進する。
7.b2030年までに、各々の支援プログラムに沿って開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国、内陸開発途上国のすべての人々に現代的で持続可能なエネルギーサービスを供給できるよう、インフラ拡大と技術向上を行う。

7.1〜7.3までは、2030年までに達成すべき目標で、7.aと7.bではそのために必要な取り組みが示されています。

目標7の実現に欠かせないのが、クリーンで近代的な再生可能エネルギーの導入です。再生可能エネルギーは化石燃料に依存せず、使用されていない土地を活かして、半永久的に発電することが可能です。

また発展途上国では、約10億人が電力を使用できておらず、代わりに薪や木炭、糞、石炭などを利用し、屋内の空気の汚染が原因で30億人以上の健康に悪影響を及ぼしていると言われています[4]

こうした問題の解決策として期待されているのが、手ごろな価格のクリーンエネルギーの普及です。

[3]外務省「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」
[4]国連広報センター(UNIC)「手ごろな価格のクリーン・エネルギーの普及はなぜ大切か」

クリーンエネルギーに関する取り組み事例

クリーンエネルギーに関する取り組み事例

クリーンエネルギーの普及に向けた取り組みは、大きく3つに分けられます。

  • 再生可能エネルギーの導入
  • エネルギーの使い方の見直し
  • 省エネ技術の導入

再生可能エネルギーの導入

1つ目の取り組みは、太陽光発電や風力発電、バイオマス、水力発電、地熱発電などの再生可能エネルギーの導入です。

再生可能エネルギーは二酸化炭素などの温室効果ガスや、健康被害の原因となる大気汚染物質を排出しません。そのため、エネルギー不足や大気汚染に苦しむ地域における持続可能なエネルギーシステムとして、再生可能エネルギーに注目が集まっています。

エネルギーの使い方の見直し

2つ目の取り組みは、エネルギーの使い方の見直しです。

国連広報センター(UNIC)によると、世界の電力に占める再生可能エネルギーの比率は、2020年の時点で約30%に上昇しました[5]。しかし、熱を供給するための熱源や、輸送手段における再生可能エネルギーの比率は、依然として低いままです。

再生可能エネルギーの比率を高めるため、エネルギーの使い方を見直し、さまざまな対策を行っていく必要があります。

  • 再生可能エネルギーが生み出す熱(地熱や太陽熱など)を再利用する
  • 二酸化炭素の排出量が少ない輸送手段を利用する[6]

[5]国連広報センター(UNIC)「持続可能な開発目標(SDGs)報告2023:特別版 概要」
[6]国土交通省 「運輸部門における二酸化炭素排出量」

省エネ技術の導入

3つ目の取り組みは、省エネ技術の導入です。

例えば、省エネにつながる建材・機器の導入や、エネルギーの使用状況を把握・制御し最適化するエネルギーマネジメントシステム(EMS)など、新しい省エネ技術が普及しつつあります。

省エネ技術を導入し、使用電力量を減らすことで、化石燃料に由来する電力の割合を減らし、スムーズに再生可能エネルギーへの移行が可能となります。

【まとめ】SDGsの目標7の内容を知り、クリーンエネルギーの比率を高めよう

SDGsの目標7 「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」は、クリーンな再生可能エネルギーの導入を通じて、世界中の人々が安価かつ信頼できるエネルギーにアクセスできるようにするための目標です[1]

クリーンエネルギーは化石燃料を使用しないため、温室効果ガスを排出しません。クリーンエネルギーを導入することで、気候変動対策や大気汚染による健康被害の防止にもつながります。

また、クリーンエネルギーの比率を高めるには、企業が省エネ技術を導入し、使用電力量を減らす取り組みも大切になってきます。

>> 【法人のお客様向け】再生可能エネルギー由来の電力を組み合わせた環境配慮型電力プラン

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