SDGs目標7とは?法人向けクリーンエネルギーの最新取り組み事例

2024.05.31
2025.03.25
記事をシェアする

2015年の国連サミットにおいて、SDGs(持続可能な開発目標)が全会一致で採択されました[1]。SDGsへの取り組みは、社会問題や環境問題の解決に寄与するだけでなく、企業にとって新たなビジネスチャンスを創出し、競争力を強化する重要な要素となっています。特にSDGsの目標7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」は、企業イメージの向上や投資誘致、持続可能な成長の実現に直結するための重要な目標です。
本記事では、SDGs目標7の具体的な内容やターゲット、さらに法人向けに最適化されたクリーンエネルギーの取り組み事例を詳しく紹介します。

[1]外務省「持続可能な開発目標(SDGs)と日本の取組」

>> 【法人のお客様向け】再生可能エネルギー由来の電力を組み合わせた環境配慮型電力プラン

持続可能な開発目標・SDGsとは?

SDGs(Sustainable Development Goals)は、日本語で「持続可能な開発目標」と呼ばれ、「持続可能でより良い社会の実現」を目的とした国際的な目標です。2015年に採択され、「誰一人取り残さない(Leave No One Behind)」をスローガンとして、2030年までに達成すべき17のゴール(目標)と169のターゲット(具体的な目標)が設定されています。
従来のMDGs(ミレニアム開発目標)が主に開発途上国向けだったのに対し、SDGsは発展途上国と先進国の両方を対象とし、すべての国が取り組むべき普遍的な目標として定められています。これにより、企業活動も含めた各セクターが幅広く関与しやすくなり、持続可能な未来への具体的なステップが明確にされています。

SDGsにおける17の目標

SDGsは、社会的、経済的、環境的側面を統合的に捉え、持続可能な発展を目指すための包括的な目標群です。以下は、17の目標とそのスローガンです:

目標スローガン
1貧困をなくそう
2飢餓をゼロに
3すべての人に健康と福祉を
4質の高い教育をみんなに
5ジェンダー平等を実現しよう
6安全な水とトイレを世界中に
7エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
8働きがいも経済成長も
9産業と技術革新の基盤をつくろう
10人や国の不平等をなくそう
11住み続けられるまちづくりを
12つくる責任、つかう責任
13気候変動に具体的な対策を
14海の豊かさを守ろう
15陸の豊かさも守ろう
16平和と公正をすべての人に
17パートナーシップで目標を達成しよう

この中でも、企業活動と直結する目標7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」は、特に注目すべき重要な目標です。エネルギーの安定供給と環境負荷の低減は、企業活動の持続可能性を支える基盤であり、長期的な競争力維持に欠かせません。

SDGs目標7の詳細

目標7の概要

目標7:「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」 は、持続可能なエネルギーアクセスの確保と再生可能エネルギーの普及を通じて、全ての人々に安価で信頼できるモダンエネルギーを提供することを目指しています。国連広報センター(UNIC)の2023年報告書によると、現在でも約6億7,500万人が電気を利用できない「灯りのない生活」を送っており、その多くがサハラ砂漠以南のアフリカに居住しています。この深刻なエネルギー格差を解消するため、持続可能でクリーンなエネルギーソリューションの普及が急務となっています[2]。
さらに、世界全体のエネルギー需要は今後も増加が予測されており、特にアジア地域においては経済成長に伴うエネルギー需要の増加が顕著です。このような背景から、持続可能なエネルギー供給の確保は、地域経済の安定と環境保全の両立に不可欠となっています。

[2]国連広報センター(UNIC)「SDGs報告2023:特別版」

目標7のターゲット

目標7を達成するために、以下の5つの具体的なターゲットが設定されています[3]

ターゲット内容
7.12030年までに、安価かつ信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスを確保する。
7.22030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。
7.32030年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。
7.a2030年までに、再生可能エネルギー、エネルギー効率及び先進的かつ環境負荷の低い化石燃料技術などのクリーンエネルギーの研究及び技術へのアクセスを促進するための国際協力を強化し、エネルギー関連インフラとクリーンエネルギー技術への投資を促進する。
7.b2030年までに、各々の支援プログラムに沿って開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国、内陸開発途上国のすべての人々に現代的で持続可能なエネルギーサービスを供給できるよう、インフラ拡大と技術向上を行う。

7.1~7.3は具体的な達成目標であり、7.a7.bはそれを支えるための取り組みを示しています。特に、再生可能エネルギーの導入拡大とエネルギー効率の向上は、企業が取り組むべき重要なポイントです。これにより、エネルギーコストの削減や環境負荷の低減が期待でき、企業の持続可能な成長に寄与します。

クリーンエネルギーに関する取り組み事例

クリーンエネルギーの取り組みは、大きく以下の3つに分類されます。

再生可能エネルギーの導入

再生可能エネルギーを導入することで、温室効果ガスの排出削減やエネルギーコストの安定化を図ることが可能です。具体的には以下のようなプロジェクトがあります:

  • 太陽光発電システムの設置:自社ビルや工場の屋上に太陽光パネルを設置し、再生可能な電力を自家消費またはグリッドへの供給を行う。これにより、電力購入料金の削減や余剰電力の売電による収益化が可能となります。
  • 風力発電の活用:適地に風力タービンを設置し、安定した風力を利用して電力を生成。大規模な風力発電プロジェクトは、企業の環境目標達成に大きく貢献します。
  • バイオマスエネルギーの利用:企業の廃棄物を活用したバイオマスプラントを導入し、持続可能なエネルギー供給を実現。廃棄物処理とエネルギー生成を同時に行うことで、コスト削減と環境保護の両立が可能です。

    これらの導入により、企業はエネルギーコストの削減とともに、環境負荷の低減にも貢献できます。また、再生可能エネルギーの導入は、企業のサステナビリティ報告書やCSR活動としても高く評価され、ステークホルダーからの信頼を獲得する手段となります。

エネルギー使用の最適化

エネルギーの効率的な利用は、コスト削減と環境負荷の低減に直結します。以下のような取り組みが有効です:

  • エネルギーマネジメントシステム(EMS)の導入:エネルギー使用状況をリアルタイムでモニタリングし、無駄を削減する。データドリブンなアプローチにより、エネルギー消費の最適化が可能です。
  • 高効率照明設備への更新:LED照明など、省エネ性能の高い照明設備に切り替えることで、エネルギー消費を大幅に削減。照明コストの削減のみならず、メンテナンス頻度の低下による運用コストの削減も実現します。
  • スマートビルディング技術の導入:IoT技術を活用し、建物全体のエネルギー使用を最適化。自動制御システムを導入することで、無駄なエネルギー消費を抑制し、快適な室内環境を維持します。

これらの取り組みは、企業のエネルギーコスト削減とともに、持続可能な運営を支援します。さらに、エネルギー使用の最適化は、環境負荷の低減だけでなく、企業の競争力強化にもつながります。

省エネ技術の導入

最新の省エネ技術を導入することで、エネルギー効率を向上させ、環境負荷をさらに低減することが可能です。

  • 高効率設備の導入:省エネ型のHVACシステム(暖房、換気、空調)や製造設備を導入。これにより、エネルギー消費を最小限に抑えつつ、生産性を維持・向上させることができます。
  • エネルギー回収システム:廃熱を再利用するシステムを導入し、エネルギーの有効活用を図る。例えば、工場の排熱を利用して暖房や給湯に転用することで、エネルギー効率が大幅に向上します。
  • 建物断熱の強化:建物の断熱性能を向上させ、冷暖房のエネルギー消費を削減。高性能な断熱材の使用や窓ガラスの強化により、エネルギー損失を最小限に抑えることができます。

これらの技術導入により、企業は持続可能なエネルギー利用を実現し、環境目標の達成に貢献できます。また、省エネ技術の導入は、企業のコスト構造を改善し、長期的な経営安定にも寄与します。

クリーンエネルギー推進における最新動向と将来展望

グローバルなエネルギー市場の変化

近年、グローバルなエネルギー市場は大きな変革期を迎えています。特に、再生可能エネルギーのコストが急速に低下し、化石燃料に依存しないエネルギー供給が現実的な選択肢となりつつあります。太陽光発電や風力発電の導入が拡大し、各国政府や企業が積極的に投資を行っています。

また、電力市場のデジタル化が進展し、スマートグリッドやエネルギーストレージ技術の導入が進んでいます。これにより、再生可能エネルギーの不安定性を補完し、安定したエネルギー供給が可能となります。さらに、国際的な協力も強化されており、技術や知識の共有が促進されています。

技術革新と投資の機会

再生可能エネルギー分野では、技術革新が急速に進んでおり、新たなビジネスチャンスが生まれています。例えば、蓄電池技術の進化により、再生可能エネルギーの効率的な利用が可能となっております。また、スマートメーターやIoTデバイスの活用により、エネルギー管理が高度化し、コスト削減や運用効率の向上が期待されています。
さらに、エネルギー関連インフラへの投資も増加しており、特にアジア地域ではエネルギー需要の急増に対応するためのインフラ整備が進んでいます。

まとめ:SDGs目標7を理解し、クリーンエネルギー比率を高める

SDGs目標7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」 は、クリーンな再生可能エネルギーの導入を通じて、世界中の人々が安価で信頼できるエネルギーにアクセスできるようにすることを目的としています。

クリーンエネルギーを導入することで、以下のメリットが期待できます:

  • 環境負荷の低減:温室効果ガスの排出を削減し、気候変動対策に貢献。これにより、企業の環境目標達成が加速し、持続可能な成長が実現します。
  • コスト削減:長期的なエネルギーコストの安定化と削減。再生可能エネルギーの導入や省エネ技術の活用により、エネルギーコストの変動リスクを低減できます。
  • 企業イメージの向上:持続可能な取り組みを積極的に行うことで、ステークホルダーからの評価を高める。これにより、企業のブランド価値が向上し、顧客や取引先からの信頼も強化されます。
  • 投資誘致:持続可能な企業としての評価が高まり、投資家からの関心を集める。環境・社会・ガバナンス(ESG)投資の増加に対応し、資金調達の機会が広がります。

さらに、クリーンエネルギーの比率を高めるためには、省エネ技術の導入やエネルギー使用の最適化も不可欠です。これにより、企業は単にエネルギーコストを削減するだけでなく、全体的な運営効率を向上させ、持続可能なビジネスモデルを構築することができます。

>> 【法人のお客様向け】再生可能エネルギー由来の電力を組み合わせた環境配慮型電力プラン

記事をシェアする