高圧・法人向けの新電力の選び方や切り替え時の注意点を紹介
2024.04.15
2024.05.21
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2016年4月1日より、電力小売事業への参入が全面的に自由化されました。この電力自由化によって、全ての消費者が電力会社や料金メニューを自由に選べるようになりました。

法人向けの電力は、一足早く新電力会社の参入が進み、2000年3月には特別高圧電力、2004年4月と2005年4月には高圧電力に小売自由化の対象が拡大されました。[1]
電力自由化とともに、すでに20年以上に渡って電力小売事業を継続している新電力会社も存在します。

本記事では、新電力のパイオニア企業である丸紅グループが、高圧電力区分をメインに法人向けの新電力の選び方や、地域電力会社から切り替えるときの注意点を解説します。

[1]経済産業省 資源エネルギー庁「電力の小売全面自由化って何?」

>> 【法人のお客様向け】高圧・特別高圧の電力プランはこちら

高圧・法人向けの新電力の選び方

高圧・法人向けの新電力の選び方

高圧電力区分の小売自由化以降、地域電力会社ではなく、電力自由化に伴い参入してきた新電力を選ぶ企業が少しずつ増加しています。経済産業省の電力・ガス取引監視等委員会によると、2023年3月の段階で高圧・法人向けの新電力の販売電力量の合計は、全体の18.7%を占めています。[2]

新電力に切り替えれば、毎月の電気代が今よりも安くなる可能性がある上に、供給される電力の質はこれまでと変わらない点がメリットです。

しかし、高圧・法人向けの新電力への切り替えに興味があるものの、どのように供給先を選べばよいのかわからない方もいるでしょう。経済産業省の資源エネルギー庁によると、法人向けの新電力会社は2024年2月末の時点で723社もあり、一つずつプランを検討していくのは大変かもしれません。[3]

ここでは、高圧・法人向けの新電力を選ぶポイントを3つ紹介します。

  • 対応エリアを確認する
  • 販売電力量のシェアをチェックする
  • 複数社を比較する

[2]経済産業省「電力・ガス取引監視等委員会:電力取引の状況(令和5年3月分)」
[3]経済産業省 資源エネルギー庁「電力小売全面自由化の進捗状況について(2024年3月13日)」

対応エリアを確認する

まずは新電力の対応エリアを確認しましょう。新電力会社は発電事業者から電気を買い取り、その地域の需要家に供給しています。そのため旧一般電気事業者と同様に、新電力も対応エリアが決まっており、地域によって契約できる事業者が異なります。

高圧・法人向けの新電力を選ぶときは、まず公式ホームページなどで対応エリアを確認し、その中から切り替え先を絞り込みましょう。

シェアをチェックする

次に販売電力量のシェアをチェックしましょう。販売電力量とは、小売電気事業者が年間を通じてお客様に販売した電力量のことです。

新電力会社に切り替えるリスクの一つとされているのが、事業者が倒産したり、電力小売事業から撤退したりする可能性です。契約途中で新電力会社が倒産しても、電力供給そのものが停止することはありません。倒産などの理由により、電力供給が一時的に無契約になっても、一般送配電事業者が代わりに供給を行う最終保障供給(LR供給)というセーフティネットがあるためです。しかし、新たな切り替え先を探し、再度別の電力会社と契約を結ぶという手間がかかります。

販売電力量のシェアが多い新電力なら、こうした倒産・撤退のリスクが少ないといえるでしょう。例えば、2023年度に新電力の販売電力量のシェアが多かった事業者としては、以下が挙げられます。

  • 株式会社エネット
  • ENEOS株式会社
  • SBパワー
  • 丸紅新電力株式会社
  • ミツウロコグリーンエネルギー株式会社
  • 出光興産株式会社

など

地域電力会社から新電力への切り替えなら、販売電力量のシェアが多い事業者の中から選ぶことをおすすめします。

複数社を比較する

最後に、契約を結ぶときは複数社を候補に挙げ、比較検討しましょう。新電力によって、さまざまな強みや特徴があるからです。

  • 高圧電力・特別高圧電力の小売自由化から、20年以上の経験やノウハウがある
  • 太陽光・バイオマス・小水力・風力など、環境にやさしい再エネ電力の取扱い実績がある
  • オフィスビルや病院、工場、ホテル、福祉施設、工事現場など、さまざまな事業形態への電力供給実績がある

またどの程度電気代を削減できるかも、契約を結ぶ事業者によって変わってきます。複数の新電力会社に見積りを依頼し、自社に合った事業者を選びましょう。

高圧・法人向けの新電力に切り替えるときの注意点

高圧・法人向けの新電力に切り替えるときの注意点

高圧・法人向けの新電力に切り替えるときの注意点は2つあります。

  • 契約条件に注意する
  • 自社に合ったプランを選択する

新電力によっては、契約期間や違約金が定められている場合があるため、事前に契約条件をよく確認しましょう。また同じ高圧電力の区分でも、電気使用量に応じて複数のプランが用意されていることが一般的です。自社の電気使用状況に基づいて、最適なプランを選びましょう。

契約条件に注意する

まずは契約条件をよく確認し、契約期間や違約金などが設定されていないかを調べましょう。新電力会社によっては、電気代を安くする代わりに最低契約期間を設けているケースがあります。契約期間中に電力供給契約を解約すると、高額な違約金が発生するケースもあるため、契約を結ぶ前にまず確認しておきたいポイントの一つです。

自社に合ったプランを選択する

また自社に合ったプランを選択することも大切です。

具体的には、過去の電気使用状況を調べ、電気使用量(どの程度電力を使用するか)を概算する必要があります。毎月の電気料金は、この電気使用量に基づいて決まるため、電気使用量に合ったプランを選びましょう。

候補となる新電力に見積りを依頼する段階で、使用電力調査票への記入を求められることが一般的です。電気使用量がわからない場合は、過去12カ月分の請求書の写しを提出しても構いません。

新電力に切り替えるとなぜ料金が安くなる?

新電力に切り替えるとなぜ料金が安くなる?

高圧・法人向けの新電力に切り替えると、なぜ毎月の電気代が安くなるのでしょうか。その理由は大きく分けて2つあります。

  • 大規模な発電設備を保有していないから
  • ターゲットに合わせたプラン設定を行っているから

大規模な設備を保有していないから

電気料金が安くなる理由の1つ目は、新電力会社は地域電力会社と違い、大規模な発電設備を保有していないからです。発電設備の維持管理コストがかからないため、通常の電気料金よりもコストを抑えて供給することが可能です。

なお、電気料金が安くなるからといって、電力の質が変わるわけではありません。新電力会社は発電事業者から必要な電気を買い付け、需要家に対して供給しています。また、一般的な地域電力会社と共通の送配電線を使用し電力を供給するため、電力の質が変わることはありません。

ターゲットに合わせたプラン設定を行っているから

2つ目の理由は、新電力では顧客の電気の使い方に合わせて、個別にカスタマイズしたプランを提供できるからです。

旧一般電気事業者の場合、その地域の全ての需要家を対象として電力供給を行っているため、特定の法人向けの料金プランを設定できません。一方、新電力はオフィスビルや病院、工場、ホテル、福祉施設など、施設の電力使用状況に基づいて、最も電気料金の削減につながるようなプランをアレンジして提案できます。

このように新電力では、ターゲットに合わせたプラン設定が可能なため、切り替えによって毎月の電気代が安くなる可能性があります。

【まとめ】高圧・法人向けの新電力の選び方を知り、自社に合ったプランを契約しよう

毎月の電気代を節約するなら、高圧・法人向けの新電力への切り替えがおすすめです。

法人をターゲットにした新電力会社は、2024年2月末の時点で723社もあり、その中から自社に合った供給先を探すのは大変です。[3]
まずは対応エリアや販売電力量のシェアをチェックし、候補を絞り込むと検討がしやすくなります。その後、各社の契約条件を比較しながら、自社の電力使用量に応じたプランを選びましょう。

新電力会社は大規模な発電設備を保有しておらず、需要家の電気利用方法にあったプラン提供(電気料金設定)が可能な電力会社が増えてきました。そのため、契約するプランによっては、今よりも電気代が安くなる可能性があります。地域電力会社から法人向けの新電力へ切り替えて、お得に電気を利用しましょう。

>> 【法人のお客様向け】高圧・特別高圧の電力プランはこちら

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