オフサイトPPAとは?オンサイトPPAとの違いやフィジカルPPA・バーチャルPPAを徹底解説
企業が持続可能なエネルギー戦略を構築する上で、「電力購入契約:PPA(Power Purchase Agreement)」は重要な選択肢の一つです。特に「オフサイトPPA」は、企業が自社の敷地外で発電された再生可能エネルギーを利用する契約方式として注目されています。この記事では、オフサイトPPAの基本からオンサイトPPAとの違い、さらにオフサイトPPA内でのフィジカルPPAとバーチャルPPAの違い、そして需要家がPPA契約を行う際のメリットとデメリットについて詳しく解説します。また、発電事業者と小売電気事業者の役割についても触れ、企業が最適なエネルギーソリューションを選択するための情報を提供します。
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目次
オフサイトPPA(フィジカルPPA)とは?
オフサイトPPA(フィジカルPPA)とは、企業が自社の敷地外に設置された再生可能エネルギー発電設備から発電された電力を長期的に購入する契約です。この方式では、企業は自社の敷地内に再エネ設備を設置することなく、安定した価格で再エネ電力を確保できます。
オンサイトPPAとの違い
PPAには主に「オンサイトPPA」と「オフサイトPPA」の2種類があります。以下にその違いを表にまとめました。
比較項目 | オンサイトPPA | オフサイトPPA(フィジカルPPA) |
---|---|---|
発電設備の設置場所 | 需要家の敷地内 | 需要家の敷地外 |
初期投資 | 高い(設備設置費用が必要) | 低い(発電事業者が設備を設置) |
発電量の制限 | 敷地の条件により制限されることが多い | 発電量を大規模に確保可能 |
メンテナンス | 需要家が負担 | 発電事業者が負担 |
メンテナンスの柔軟性 | 需要家の条件に依存 | 発電事業者が最適な条件で設置可能 |
▶下記の記事も併せて参考にしてください。
・オンサイトPPAの仕組みやオフサイトPPAとの違いをわかりやすく解説
・オフサイトPPA導入ガイド:企業が知っておくべきポイント
フィジカルPPAとバーチャルPPAの違い
オフサイトPPAの中でも「フィジカルPPA」と「バーチャルPPA」の2種類があります。それぞれの特徴は以下の通りです。
比較項目 | フィジカルPPA | バーチャルPPA |
---|---|---|
電力の供給方法 | 発電事業者が直接供給 | 差金決済を通じて電力量に基づく金融取引 |
発電される場所 | 需要家の敷地外(特定の再生可能エネルギー施設) | 特定の再生可能エネルギー施設からの電力購入 |
契約形態 | 物理的な電力の供給契約 | 電力量に基づく金融契約 |
メンテナンス負担 | 発電事業者が負担 | 不要(物理的な供給がないため) |
価格の安定性 | 長期的な固定価格での供給が可能 | 市場価格に連動したキャッシュフローの交換 |
▶下記の記事も併せて参考にしてください。
②企業の持続可能なエネルギー戦略を支えるバーチャルPPA:仕組みと導入のメリット
発電事業者と小売電気事業者の役割
オフサイトPPAにおいて、発電事業者と小売電気事業者はそれぞれ異なる役割を担っています。
発電事業者の役割
発電事業者は再生可能エネルギー資源(太陽光、風力、バイオマスなど)を活用して電力を生成します。フィジカルPPAでは、発電事業者が再エネ発電設備を設置・運営し、安定した電力供給を確保します。また、発電事業者は設備のメンテナンスや運営管理も担当します。
小売電気事業者の役割
小売電気事業者は、発電事業者から電力量を購入し、企業などの需要家に供給します。フィジカルPPAでは、小売電気事業者が一般送配電事業者の送電網を介して電力を需要家に届ける役割を果たします。バーチャルPPAでは、電力量に基づく金融取引を通じてエネルギー属性を需給します。
需要家がPPA契約を行う場合のメリット
PPA契約を通じて企業が得られる主なメリットは以下の通りです。
コスト削減
長期契約による安定した電力供給により、電力料金の変動リスクを軽減できます。特にフィジカルPPAでは、初期投資を抑えつつ再エネ電力を利用できるため、総合的なコスト削減が期待できます。
環境負荷の低減
再生可能エネルギーを積極的に利用することで、CO2排出量の削減に貢献できます。これは企業のCSR(企業の社会的責任)活動としても評価され、ブランドイメージの向上にもつながります。
エネルギーの長期安定供給
PPA契約により、長期的に安定した電力供給を確保できます。これにより、製造ラインやオフィス業務など、電力に依存する業務の安定性が高まります。
規制遵守の支援
政府のカーボンニュートラル目標に対応するため、再生可能エネルギーの導入が求められています。PPA契約を通じて再エネ電力を利用することで、規制遵守を支援します。
需要家がPPA契約を行う場合のデメリット
PPA契約にはメリットが多い一方で、以下のようなデメリットも存在します。
長期契約による柔軟性の低下
PPA契約は通常10〜20年と長期間にわたるため、契約期間中に事業内容やエネルギー需要が変わった場合、柔軟に対応しにくい点があります。
契約条件の複雑さ
PPA契約は複雑な法的・技術的条件を伴うことが多く、契約締結前に詳細な調査や専門家の助言が必要です。これにより、初期の導入コストや時間がかかる場合があります。
発電事業者のリスク
発電事業者の倒産や発電設備のトラブルが発生すると、電力供給が不安定になるリスクがあります。特にフィジカルPPAでは、発電事業者の信頼性が重要です。
【まとめ】
オフサイトPPAは、企業が再生可能エネルギーを利用しつつ、柔軟かつコスト効率的に電力を調達するための有力な選択肢です。オンサイトPPAとの違いや、フィジカルPPA・バーチャルPPAの比較を理解することで、企業は自社のエネルギー戦略に最適なPPA契約を選択できます。
また、発電事業者と小売電気事業者の役割を明確に把握することも重要です。発電事業者は再エネ発電設備の設置と運営を担当し、小売電気事業者は電力量の供給と契約管理を行います。これにより、企業は安定した電力供給を受けつつ、環境負荷の低減を実現できます。
最後に、PPA契約にはメリットとデメリットが存在するため、企業は自身のエネルギー需要と戦略を慎重に検討し、最適なプランを選択することが求められます。持続可能な未来に向けて、オフサイトPPAの活用を検討してみてはいかがでしょうか。