デマンドレスポンスの意味やメリット・デメリットを徹底解説
2024.05.24
2024.05.24
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電力需給のバランスを平準化するために注目を集めているのが、デマンドレスポンス(DR)と呼ばれる仕組みです。大手電力会社を中心として、一般企業も参加可能なデマンドレスポンスのキャンペーンを展開する例も増えてきました。

デマンドレスポンスに参加することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。本記事では、デマンドレスポンスの意味や、企業が参加するメリット・デメリットを解説します。

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デマンドレスポンスとは?

デマンドレスポンス(Demand Response)とは、日本語で需要応答とも呼ばれ、『消費者が賢く電力使用量を制御することで、電力需要パターンを変化させること』を意味します[1]。つまり、企業や施設などの需要家が、その時々の状況に応じて電力需要パターンを変化させ、電力の需給バランスの平準化を目指すのが、デマンドレスポンスと呼ばれる取り組みです。

身近な例で言えば、電気使用量を節約する節電や、電力需要が少ない夜間に電気を貯めておき、余った電気を昼間に使用するピークシフトなどもデマンドレスポンスの一種です。電力需給がひっ迫する夏や冬などの時期には、電力会社が節電キャンペーンの一環として、一般企業にデマンドレスポンスへの参加を呼びかける例も見られます。

デマンドレスポンスは、電力需要を制御するパターンによって、下げDRと上げDRの2種類に区分されます。

需要制御のパターン特徴
下げDR電力の供給量が少ない場合に需要量を減らして対応する
上げDR電力の供給量が多い場合に需要量を増やして対応する

例えば、電力需要がピークとなる時間帯に機器や設備の出力を落としたり、電源をオフにしたりして、電力の需給バランスを取るのが下げDRです。

逆に機器や設備をどんどん稼働させ、需要量を増やす上げDRが必要となるケースもあります。例えば、発電所で電気を作りすぎてしまった場合は、上げDRの発動によって需要時間帯をシフトしたり、再生可能エネルギーの過剰出力分を蓄電池に充電することで余った電気を有効活用できます。

[注1]経済産業省 資源エネルギー庁「ディマンド・リスポンスってなに?」

デマンドレスポンスの必要性

デマンドレスポンスが必要な理由は、電力の需給バランスを適正に保つ上で、電力会社側の取り組みだけでは不十分になりつつあるためです。

これまで電力会社は、長期的な需給の見通しに基づいて発電計画を立て、その時々の電力需要に応じて、電力供給量を細かく調節してきました。しかし、電気はその性質上、大量に貯めておくことができません。そのため、電力需要が急に上昇した場合、需要に供給が追いつかなくなり、電力需給がひっ迫する恐れがあります。

また、近年普及しつつある再生可能エネルギーは、天候などの条件によって発電量が変動するため、安定した電力供給が難しいという弱点があります。再生可能エネルギーの導入がどんどん拡大している今、電力会社だけの努力で電力の需給バランスを適正に保つことが難しくなりました。

そうした背景から、その時々の電力供給量に合わせて、企業や施設が電力使用量を制御するデマンドレスポンスの必要性が高まっています。

デマンドレスポンスの種類

デマンドレスポンスの種類

デマンドレスポンスは、電力需要を制御する仕組みによって、電気料金型デマンドレスポンスとインセンティブ型デマンドレスポンスの2種類に分けられます。

電気料金型デマンドレスポンス

電気料金型デマンドレスポンスは、電力需要がピークとなる時間帯の電気料金を値上げし、電力需要の抑制を間接的に促す方式です。比較的簡便に実施できる方式ですが、電力需要の抑制につながるかどうかは需要家の反応によるため、確実性が低いという欠点があります。

インセンティブ型デマンドレスポンス

インセンティブ型デマンドレスポンスは、ネガワット取引(下げDRの場合の呼称)とも呼ばれ、電力会社やアグリゲーターが需要家と契約を結び、デマンドレスポンスを実施する方式です。

アグリゲーターとは、需要家の設備や電力の使用状況に合わせ、デマンドレスポンスを依頼する事業者です。アグリゲーターには、需要家のデマンドレスポンスの取り組み状況を電力会社に報告する役割もあります。デマンドレスポンスに参加した需要家は、需要抑制量に応じてインセンティブを得られる仕組みになっています。

デマンドレスポンスのメリット

デマンドレスポンスのメリット

電力会社によっては、夏季や冬季など電力需給がひっ迫する時期を中心として、デマンドレスポンスへの参加申し込みを受け付けています。デマンドレスポンスに参加するメリットは3つあります。

  • 地球温暖化防止に貢献できる
  • 電気料金を削減できる
  • エネルギー使用を効率化できる

地球温暖化防止に貢献できる

1つ目のメリットは、地球温暖化の防止に貢献できるという点です。

前述した通り、再生可能エネルギーには、電力供給量が安定しないという欠点があります。しかし、デマンドレスポンスに参加する企業が増えれば、需要家側で電力需要を調節できるようになるため、再生可能エネルギー由来の電力を無駄なく使える可能性が高いです。再生可能エネルギーの導入拡大に貢献し、地球温暖化防止などの環境対策につながるのが、デマンドレスポンスに参加するメリットです。

電気料金を削減できる

2つ目のメリットは、電気料金の削減につながるという点です。

デマンドレスポンスを通じて電力需要を抑制すれば、その分の電気料金を削減できます。またインセンティブ型デマンドレスポンス(下げDR)の場合、需要抑制量に応じて、電気料金の値引きなどの特典も得られます。

エネルギー使用を効率化できる

3つ目のメリットは、エネルギー使用を効率化できるという点です。

デマンドレスポンスへの参加は、自社の電力使用状況を見つめ直すきっかけになります。無駄な電力を消費している設備や機器がないか点検することで、エネルギー使用の効率化につながります。

デマンドレスポンスのデメリット

デマンドレスポンスのデメリット

一方、デマンドレスポンスにはデメリットも2つあります。

  • 電気の使用量を把握する必要がある
  • 条件に縛られる

電気の使用量を把握する必要がある

デマンドレスポンスへの参加に当たって、自社の電気使用量を把握する仕組みが必要になります。どの設備や機器が、どの程度の電気を使用しているのかが分かっていなければ、細かく電力需要を調節できません。自社の電気使用量を可視化する仕組みがない場合、デマンドレスポンスに参加した企業は苦労することになります。

条件に縛られる

電力会社が実施するデマンドレスポンスに参加する場合、需要抑制量などの条件が課される場合があります。夏季や冬季など、電力需給がひっ迫しやすい季節は、条件の達成が困難になるケースもあります。自社の電力需要を把握した上で、無理のない範囲でデマンドレスポンスに取り組みましょう。

【まとめ】デマンドレスポンスに参加し、電気使用量の削減を

デマンドレスポンスは、企業や施設などの需要家が、電力の供給状況に合わせて電力使用量を制御する取り組みです。電力会社と需要家が協力することで、電力の需給バランスを適正に保てます。

デマンドレスポンスには、電気料金型デマンドレスポンスとインセンティブ型デマンドレスポンス(ネガワット取引(下げDR))の2つの方式があり、後者は参加者が取り組み状況に応じた特典を獲得することが可能です。今後、デマンドレスポンスは、脱炭素社会の実現に向けて重要な役割を果たしていくと考えられます。

電気料金でお悩みの企業担当者様は契約している電力会社に問い合わせてみましょう。

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