法人の電気料金は値上げ傾向?高騰の理由を詳しく解説
2024.04.15
2024.05.21
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ロシアによるウクライナ侵略をきっかけとして、世界的な燃料価格の高騰が続いています。2022年11月および2023年1月には、大手電力会社7社によって電気料金の値上げ申請が行われました。[1]
その後も再エネ賦課金の見直しなどの要因により、電気料金の値上がりは止まっていません。

法人向けの電力の場合、現在はどのような状況になっているのでしょうか。本記事では、高圧電力・特別高圧電力の値上げ状況や、電気代が高騰している背景、大手電力会社7社による電気料金の見直しについて解説します。

[1] 消費者庁:電気料金の動きについて

>> 【法人のお客様向け】高圧・特別高圧の電力プランはこちら

法人向け電力の値上げ状況は?

法人向け電力の値上げ状況は?

法人向けの電力には、大規模工場やデパート、オフィスビルなどに供給される特別高圧電力と、中小ビルや中小規模工場などに供給される高圧電力の2種類があります。

ここでは、高圧電力・特別高圧電力の値上げ状況をそれぞれ紹介します。

高圧電力の値上げ状況

法人向けの高圧電力は、2022年から2023年にかけて、段階的に値上げが行われてきました。

2022年2月には、ロシアによるウクライナ侵攻が始まり、世界各国がロシアへの経済制裁を行ったため、ロシア産エネルギーの供給が不安定化しました。その結果、燃料価格が世界的に高騰し、日本でも電力会社7社(北海道電力、東北電力、東京電力エナジーパートナー、北陸電力、中国電力、四国電力、沖縄電力)が電気料金の値上げ申請を行っています。[2]

また2023年4月1日には、長引く燃料価格の高騰への対応に苦慮し、国内の大手電力会社10社が一斉に法人向け電力の値上げを行いました。[3]
特に化石エネルギーへの依存度が高い電力会社では、大幅に料金単価の見直しを行っています。

[2] 経済産業省 資源エネルギー庁「電気料金の改定について(2023年6月実施)」
[3] 北海道新聞「法人向け電気代、全国で4月1日値上げ 大手電力10社、沖縄は5割増」

特別高圧電力の値上げ状況

特別高圧電力も、燃料価格の高騰などの影響により、2022年から2023年にかけて値上げが行われました。電気料金の値上げ幅は、全体として高圧電力よりも大きくなっています。

2023年4月1日の一斉値上げでは、非化石エネルギー(原子力発電など)を利用する電力会社では大幅な値上げが行われなかったものの、一部電力会社では約50%もの値上げが実施されました[1]

このように法人向けの高圧電力・特別高圧電力は、いずれも電気料金の値上げが続いており、企業にとって負担が増加しています。電気代が高騰している背景には、どのような要因があるのでしょうか。

[1]北海道新聞「法人向け電気代、全国で4月1日値上げ 大手電力10社、沖縄は5割増」

電気代が高騰している背景

電気代が高騰している背景

電気料金が高騰を続けている理由は3つあります。

  • 燃料費の高騰
  • 再エネ賦課金の値上げ
  • 電力の供給不足

燃料費の高騰

電気料金が値上がりする原因の一つは、世界的な燃料価格の高騰です。

2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻の影響で、液化天然ガス(LNG)・石炭・原油などの輸入価格が大幅に高騰しました。2022年のピーク時で、液化天然ガス(LNG)は2022年1月比で約1.7倍、石炭は約2.8倍、原油は約1.7倍の上昇となっています。[4]

電気料金には、毎月の使用電力量に基づいて決められる電力量料金という項目があります。この電力量料金には、燃料価格の変動に基づいて調整される燃料費調整単価が含まれており、燃料価格が上がると電気料金が上がり、逆に燃料価格が下がると電気料金が下がる仕組みです。

燃料費が世界的に高騰を続けた結果、この燃料費調整単価も上昇し、電気料金値上げの要因の一つとなりました。

[4] 経済産業省 資源エネルギー庁「2023年6月の電気料金、なぜ値上がりするの?いくらになるの?」

再エネ賦課金の値上げ

2つ目の原因は、再エネ賦課金の値上げです。

再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)とは、電力会社が再エネ電力を一定価格で買い取る固定価格買取制度に基づいて、買い取り費用の一部を電気料金に反映したものです。

この再エネ賦課金は近年値上げが続いており、電気料金が高騰する一因となっています。再エネ賦課金は2023年に一時的に値下げが行われたものの、2024年以降は再び値上がりする可能性があると考えられています。

電力の供給不足

3つ目の原因は、電力の供給不足に伴う値上げです。

2022年6月には、厳しい電力需給の状況を踏まえて、日本で初めて電力需給逼迫(ひっ迫)注意報が発令されました。[5]
近年、原子力発電所の相次ぐ稼働停止や、火力発電所の老朽化などの要因により、国内の電力供給量は減少傾向にあります。

電力の供給不足が起きると、電力の仕入れ値が値上がりし、電気料金が高騰する原因の一つとなります。今後も電力需給が高まる夏季や冬季を中心として、電力の供給不足が起こる可能性があるため、電力会社のホームページなどで最新の情報を入手してください。

[5] 経済産業省「東京電力管内の電力需給ひっ迫注意報を18時で解除します【電力需給ひっ迫注意報(最終報)】」

【2024年4月】大手電力会社別値上げ状況

【2024年4月】大手電力会社別値上げ状況

ここでは、以下の大手電力会社を例に挙げて、電気料金の値上げ状況を紹介します。

  • 東京電力エナジーパートナー
  • 北海道電力
  • 東北電力
  • 北陸電力
  • 中部電力ミライズ
  • 四国電力

2023年4月1日に国内の大手電力会社全てが法人向け電気料金を値上げし、その後も全体として値上がり傾向が続いてきました。[6]
しかし、一部の電力会社では、燃料費調整により2024年4月から電気料金の値下げも行われています。

電気料金は毎月変動する可能性があるため、最新の値上げ状況を確認しましょう。

[6] 北海道新聞「法人向け電気代、全国で4月1日値上げ 大手電力10社、沖縄は5割増」

東京電力エナジーパートナー

東京電力エナジーパートナーは、2023年4月1日から法人向け電力の料金単価を12.2%~14.2%値上げしました。

ただし、2024年4月1日から電気料金の見直しが予定されています。法人向けの業務用電力は、基本料金・電力量料金ともに前月から値下げされているため、新料金プランを確認してください。

北海道電力

北海道電力は、2023年4月1日に法人向け電力を18.4%〜21.2%値上げしました。

また2024年4月1日の料金改定では、業務用電力(標準電圧6,000V)の基本料金が値上がりします。ただし、電力量料金は一般料金・時間帯別料金・休日平日別料金(業務用ウイークエンド電力)の全てで値下げされており、使用電力量によっては改定前よりもお得になる可能性があります。

東北電力

東北電力は、2023年4月1日に法人向け電力を16.0%〜17.5%値上げしました。

2024年4月1日に発表された新料金プランでは、業務用電力(標準電圧6,000V)の電力量料金が、夏季・その他季ともに値下げされています。

北陸電力

北陸電力は、2023年4月1日に法人向け電力を25%〜27%値上げしました。

また2024年4月1日以降も、法人向けの業務用電力などの料金プランで、価格改定が予定されています。詳しい電気料金を知りたい場合は、北陸電力のホームページで公開されている約款を確認しましょう。

中部電力ミライズ

中部電力ミライズは、2023年4月1日に法人向け電力を8.6%〜9.4%値上げしました。

一方、2024年3月1日には、特別高圧・高圧の需要家を対象として、電気料金の負担軽減策を実施しています。2024年4月分~2025年3月分を対象として、毎月の燃料費調整単価が1.74 円/kWh割引される見込みです。

四国電力

四国電力は、2023年4月1日に法人向け電力を8.3%〜9.3%値上げしました。

また2024年4月1日には、法人向けの高圧・特別高圧における電力料金が改定され、業務用電力や高圧電力A、高圧電力B、特別高圧電力A、特別高圧電力Bなどのプランで、電力量料金の値下げが行われます。

【まとめ】法人向け高圧電力・特別高圧電力の値上げ状況を確認しよう

法人の電気料金は、2023年4月1日に大手電力会社10社による一斉値上げが行われて以来、全体として値上がり傾向が続いてきました。電気料金が高騰している背景には、燃料価格の高騰や、再エネ賦課金の値上げ、電力の供給不足などの要因があります。

特に燃料価格の高騰は、月々の電力量料金(燃料費調整単価)に大きく影響するポイントです。ロシアによるウクライナ侵攻の影響により、液化天然ガス(LNG)や石炭、原油などの輸入価格が高騰した結果、日本でも電気料金が大幅に値上がりしました。

ただし、燃料費調整単価は毎月変動しています。2024年4月1日からは、燃料費調整の結果、一部の電力会社で電気料金の値下げが行われます。電力会社のホームページなどを参考にして、最新の値上げ状況を確認しましょう。

>> 【法人のお客様向け】高圧・特別高圧の電力プランはこちら

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