RE100 とは?参加条件や取り組み事例を紹介
2024.03.13
2024.05.10
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環境問題に関心のある方なら、RE100という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。

RE100は、事業に必要な電力を100%再エネ電力で賄うことを目標とした国際イニシアティブです。パリ協定の実現を目指すSBTや、日本独自の再エネ100宣言などの企業連合と並んで、さまざまな企業や投資家から注目を集めています。

RE100に参加するメリットは何でしょうか。本記事では、RE100の参加条件・達成条件や、実際にRE100に参加した企業の具体的な取り組み事例を紹介します。

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RE100とは?

RE100とは?

RE100とは、「2014年に結成した、事業を100%再エネ電力で賄うことを目標とする企業連合」のことです。[1]

2015年に採択されたパリ協定を一つのきっかけとして、気候変動に対応し、脱炭素(二酸化炭素などの排出量を実質ゼロにする)を目指す動きが世界的に広がりました。事業レベルで脱炭素を実現しようとする取り組みのことを「脱炭素経営」と言います。

RE100は、脱炭素経営に向けた目標を設定し、参加企業の取り組みの進捗状況を可視化するという役割を果たしています。近年は長期的な成長を期待して、金融市場でも脱炭素経営への関心が大きくなってきました。RE100への加盟は、脱炭素経営に向けた取り組みを対外的にアピールできるため、ESG投資家へのアピールに繋がり投資の拡大が期待できます。

しかし、RE100には参加条件と達成条件の2つの条件があります。そもそも参加条件を満たしていない場合、RE100に加盟することはできません。

[1]環境省「RE100について」

RE100の参加条件

日本では、JCLP(日本気候リーダーズ・パートナーシップ)がRE100の窓口の役割を果たしています。JCLPによると、RE100への参加要件は以下の3点です。[2]

  1. 消費電力量が年間100GWh以上であること(※2020年9月4日に特例として日本は50GWh以上に緩和)
  2. 事業を100%再エネ化に向けて、期限を決めた目標を設定し、かつ公表すること
  3. グループ会社の場合、グループ全体でRE100に参加し、100%再エネ化に取り組むこと

RE100の参加条件として、日本企業には年間の消費電力量のしきい値が設定されています。原則として、消費電力量が年間50GWh以上の企業のみRE100に参加することが可能です。

またグループ会社の場合は、親会社だけでなく、支配率が50%以上の子会社もRE100の参加対象に含まれます。RE100への参加を目指す場合、グループ全体として100%再エネ化に取り組まなければなりません。

ただし、上記の条件を全て満たしていても、以下の業種に該当する場合はRE100への参加が認められないため注意してください。[1]

  • 化石燃料
  • 航空
  • 軍需品
  • ギャンブル
  • たばこ
  • 主要な収入源が発電事業である企業

[2]JCLP「よくあるご質問(RE100参加について)」

RE100の達成条件

RE100には、参加条件だけでなく、達成条件も設定されています。最終的なRE100の目標は、2050年までに事業に必要な電力の100%を再エネ化することです。

また中間目標もあり、最低でも2030年までに電力の60%、2040年までに90%の再エネ化が必須とされています。

期限進捗状況
2030年電力の60%を再エネ化
2040年電力の90%を再エネ化
2050年電力の100%を再エネ化

ただし、日本は再エネ電力に関する環境整備が進んでいないことから、中間目標は「必須」ではなく「推奨」のレベルにとどまっています。

RE100に参加するメリット

RE100に参加するメリット

RE100に参加するメリットは2つあります。

  • 温室効果ガス削減に貢献できる
  • 取り組みをアピールできる

温室効果ガスの排出量を削減し、地球環境の保全に貢献できるだけでなく、新たなビジネスチャンスにもつながるのがRE100の魅力です。

温室効果ガス削減に貢献できる

RE100に参加する一つ目のメリットは、100%再エネ化を実現することで、温室効果ガスの排出量削減に貢献できる点です。化石燃料を燃焼させると、二酸化炭素をはじめとした大量の温室効果ガスが発生します。化石燃料に由来するエネルギーの割合を減らし、再生可能エネルギーの割合を増やしていくことで、環境負荷の軽減が可能です。

また化石燃料は、気候変動を引き起こすリスクの一つとして、国際的に広く認識されつつあります。化石燃料に依存しつづけることは、環境意識の高い投資家から敬遠される可能性があり、資金調達の面で不利に働くリスクも否定できません。

温室効果ガスの排出量削減に向けた取り組みは、これからのビジネス環境を考える上でも大切になってきます。

取り組みをアピールできる

RE100に参加すると、再生可能エネルギーの導入に向けた取り組みを国際的に広くアピールできます。近年はESG投資をはじめとして、環境や社会、企業統治(ガバナンス)を考慮した投資が活発化しています。RE100への参加は、ESG投資を呼び込み、新たな投資の獲得につながるかもしれません。

またRE100とパートナーシップを結ぶCDP(ESG評価機関の一つ)には、590以上の機関投資家が署名しています。[1]RE100に参加することで、CDPを通じて機関投資家にアピールする機会を得ることが可能です。

RE100の具体的な取り組み事例

RE100の具体的な取り組み事例

RE100には、2023年1月時点で世界397社の企業が参加しており、うち参加している日本企業は77社です。[1]ここでは、RE100に参加する企業の中から、具体的な取り組み事例を3つ紹介します。

  • 城南信⽤金庫
  • LEGO Group
  • アスクル株式会社

城南信用金庫

城南信用金庫は、日本で初めてRE100を達成した企業です。2019年7月に事業で使用する電力の100%再エネ化を達成し、製紙会社が排出する「黒液(こくえき)」を再利用したバイオエネルギーなどに切り替えました。

また店舗の建て替えの際に省エネルギー設備の導入を行っているのも、城南信用金庫ならではの取り組みの一つです。店舗によっては、年間の消費電力を50%削減することに成功しています。[3]

[3]公益財団法人 自然エネルギー財団「城南信用金庫、日本の企業で初めてRE100を達成」

LEGO Group

デンマークの大手玩具メーカー、LEGO Groupは、2017年に電力の100%再エネ化を実現しました。LEGO Groupでは、風力発電事業も手掛けており、使用する電力のほぼ100%を自前の洋上風力発電ファームで賄うことに成功しています。LEGO Groupのグループ全体の使用電力量は360GWh以上(2016年)ですが、その大部分をクリーンなエネルギーで賄ったことになります。LEGO Groupは2020年までに100%再エネ電力化を実現することを目標に掲げてきましたが、3年前倒しでの目標達成となりました。[4]

[4]デンマークの玩具メーカーのレゴ・グループ、「再エネ100%」を達成。

アスクル株式会社

日本企業の事例では、アスクル株式会社もRE100に加盟した企業の一つです。アスクル株式会社は、輸送手段の100%電化を目指すEV100にも加盟しており、RE100とEV100の同時加盟は国内初の試みとなりました。

アスクル株式会社は「2030年CO2ゼロチャレンジ」を目標に掲げており、2018年5月の段階で、電力の25%を再エネ化することに成功しています。また「アスクル環境フォーラム」を定期的に開催し、脱炭素社会の実現に向けた企業間の連携を呼びかけるなど、サプライチェーン全体として100%再エネ化を推進する取り組みを行っています。[5]

[5]アスクル株式会社がEV100、RE100への同時加盟を発表– EV100、RE100同時加盟は世界初 –

【まとめ】RE100の参加条件やメリットを知り、再エネ電力の導入を!

RE100は、事業に必要な電力の100%再エネ化を目指す国際的な取り組みです。RE100に参加することで、自社の脱炭素経営に向けた取り組みが可視化され、企業価値の向上につながります。地球環境保全に貢献できるだけでなく、ビジネスチャンスの獲得につながるのがRE100のメリットです。

RE100には、参加条件や達成条件が設定されているため、参加を目指す企業は事前に確認しておきましょう。

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