企業の持続可能な未来を支えるコーポレートPPA活用ガイド~オンサイト&オフサイトの違いとメリット・デメリットを徹底解説~

2024.03.06
2026.07.08
記事をシェアする

本コラムでは、企業が環境負荷削減と経済性向上の両立を目指して活用できる再生可能エネルギー調達手法「コーポレートPPA」について、基本概念からオンサイト・オフサイトの区分、メリット・デメリットまでを詳しく解説いたします。急速なエネルギー市場の変革と、各国で進む再エネシフトの中で、今後企業が競争力を維持・向上させるための鍵ともなり得るコーポレートPPAの役割に注目が集まっています。

※ 現在は発電事業者が送配電ネットワークを介して電力を需要家に直接販売することが認められていないため、小売電気事業者を通した契約になります。 

>> 【法人のお客様向け】再生可能エネルギー由来の電力を組み合わせた環境配慮型電力プラン

コーポレートPPAとは?

「コーポレートPPA(Power Purchase Agreement)」とは、企業(需要家)が、再生可能エネルギー発電事業者と直接あるいは仲介を通じて電力購入契約を締結し、一定期間に渡って固定価格で電力およびその環境価値を調達する仕組みです。昨今、太陽光や風力発電のコストが低下し、企業が持続可能な開発目標(SDGs)やカーボンニュートラル達成に向けた取り組みとして、追加性のある再エネ電力を確保する手段として注目されています。この契約形態は、従来の固定価格買取制度(FIT)に代わる新たな収益モデルとしても評価され、発電事業者にとっては安定した収益源、企業にとっては将来的な電力コストの固定化や環境アピールの材料となります。

コーポレートPPA
(電力の需要家と発電事業者が結ぶ長期の電力購入契約)
オンサイトPPA
(発電設備が需要家の敷地に近接しているもの)
※構内線か自営線で接続        
オフサイトPPA
(発電設備が需要家の敷地から遠隔にあるもの)
※送配電網で接続
フィジカルPPA
(需要家が電力と環境価値をセットで購入するもの)
バーチャルPPA
(需要家が環境価値だけを購入するもの)

オンサイトPPAとは?

オンサイトPPAは、需要家(企業)の敷地内または隣接地に再生可能エネルギー発電設備を設置し、その設備で発電された電力を自家消費する契約形態です。

オンサイトPPA

【特徴】

  • 需要家の施設内で発電設備が設置されるため、エネルギーのロスを最小限に抑えつつ、直接的な自家消費が可能です。
  • 設備導入から運転、保守までを発電事業者に委託するため、運用面での負担を軽減できます。
  • エネルギー属性証明(EACs)を通じて、再エネ比率の向上を証明する手段として利用され、企業のサステナビリティ報告に反映されやすいメリットがあります。

【具体例】
あるオフィスビル運営企業が、屋上に太陽光パネルを設置し、日中に発生する電力を大部分自家消費することで、電力の需給バランスを整えながら電力料金の変動リスクを抑えています。オンサイトPPAは、企業側で発電設備の設置スペースを提供し、土地の有効活用が可能な場合に、非常に効果的な手法となります。

オフサイトPPAとは?

オフサイトPPAは、発電設備を企業の敷地外に設置し、送配電網を通じて供給される再生可能エネルギーを契約する形態です。この形式にはさらに2種類の契約方法があります。

オフサイトPPA

【A. フィジカルPPA】
需要家は、発電事業者が建設する再エネ設備から発電された電力とその環境属性をセットで受け取る契約です。海外や一部の国では、このフィジカルPPAが主流とされています。しかし、日本の場合、電気事業法の規制により直接契約が難しいケースが多く、小売電気事業者を介する形となります。

【B. バーチャルPPA】
需要家は物理的な電力供給は受けない、金融的な契約モデルです。この契約では、あらかじめ定めた固定価格(契約価格)と変動する電力市場価格との差額を金銭で決裁する「差金決済契約」と再エネ由来の環境価値(非化石証書など)の購入がセットになっています。需要家は、実際の電力を別途、通常の電力契約で調達しますが、この差額決済の仕組みによって電力調達価格の変動リスクをヘッジすることが出来ます。

【特徴】

  • 発電設備の設置場所が需要家の近隣でなくても契約可能で、立地条件や敷地の制約を受けずに再エネ導入が可能です。
  • 送配電網を通じて電力が供給されるため、契約形態に複雑さが伴いますが、価格変動のリスクヘッジが図れます。

【比較表:オンサイトPPA vs オフサイトPPA】

項目オンサイトPPAオフサイトPPA
設置場所需要家の敷地内または隣接地需要家とは別の場所に設置
自家消費性直接自家消費が可能通常、送配電網を通じて供給
契約形態電力と環境価値がセット・フィジカル型(電力+環境価値)
・バーチャル型(主に環境価値)
インフラ整備需要家側で土地や設置スペースが必要発電設備の設置場所の自由度が高い

オンサイトPPAやオフサイトPPAには、それぞれメリット・デメリットがあります。詳しく知りたい方は、下記記事をご覧ください。

コーポレートPPAを利用するメリット

コーポレートPPAの活用は、企業にとって多くのメリットを生み出します。以下に主なポイントを挙げます。

【経済的メリット】

  • 電力料金の固定化
    長期契約により、将来的な電力価格の変動リスクを回避できます。燃料費や市場価格の変動に左右されず、事業計画の策定がしやすくなります。
  • コスト削減
    再生可能エネルギー発電のコスト低下を背景に、従来の電力調達方法よりも経済的なメリットが享受できる場合があります。

【環境・CSR面でのメリット】

  • 温室効果ガス削減
    CO2排出量の削減に直結し、企業の環境負荷軽減とCSR(企業の社会的責任)活動に寄与します。
  • グリーンブランドの強化
    再エネ利用を積極的にアピールすることで、消費者や株主からの信頼が向上し、企業イメージの向上につながります。

【リスクマネジメント面でのメリット】

  • 市場リスクのヘッジ
    特にバーチャルPPAを利用する場合、市場の電力価格変動リスクを金融商品として転嫁することが可能です。
  • 追加性の確保
    新たな再生可能エネルギー設備の導入促進により、従来のFIT制度に頼らずに再エネを増やす「追加性」を明確に示すことができます。

【主な事例はこちら】
オフサイトコーポレートPPAについて(環境省・みずほリサーチ&テクノロジーズ)
*27ページ参照

コーポレートPPA のデメリット

一方で、コーポレートPPAの導入にはいくつかのデメリットや課題も存在します。

【契約の複雑性】

  • 契約内容が複雑
    オンサイトとオフサイト、フィジカルとバーチャルなど、多様な契約形態が存在するため、企業側で自社に最適な契約内容を把握するのは容易ではありません。これには専門的な知見が必要となるため、外部のアドバイザーやコンサルティング会社の支援が求められるケースもあります。


【長期契約のリスクと経済性】

  • 長期契約による拘束
    コーポレートPPAは10年~20年といった長期契約が基本です。この間、原則として解約はできず、もし解約する場合は高額な違約金が発生する可能性があります。企業の事業計画の変更や、将来的な事業所の移転などに柔軟に対応しにくい点があります。
  • 将来的な価格の割高リスク
    契約時に固定した電力単価が、将来の電力市場価格や記述革新による発電コストのさらなる低下によって、相対的に割高になるリスクの可能性も考慮する必要があります。

【規制・法令の制約】

  • 法制度上の制約
    オフサイトPPAに関しては、電気事業法などの規制により、直接契約ができない場合があり、小売電気事業者を介する必要があるなど、制度上のハードルがあります。
  • 環境価値の証明
    再エネの環境価値を証明するために、非FIT非化石証書やエネルギー属性証明(EAC)の取得が必要となる場合があり、これが手間や追加コストの原因となるケースがあります。

【市場リスク】

  • 卸売市場価格との乖離
    バーチャルPPAの場合、市場の電力価格の変動リスクを企業側が引き受けるため、場合によっては想定外の価格差リスクが発生する可能性があります。

まとめ

本コラムでは、コーポレートPPAの基礎知識から、オンサイトPPAとオフサイトPPAの違い、そして利用するメリットとデメリットについて解説しました。

  • コーポレートPPAは、企業が再生可能エネルギー発電事業者と長期契約を結ぶことで、電力料金の安定化や再エネ比率の向上を実現する有力な手法です。
  •  オンサイトPPAは需要家の敷地内に発電設備を設置し、直接自家消費する方式で、エネルギー効率の面で有利です。一方、オフサイトPPAは、設置場所の自由度が高く、フィジカル型とバーチャル型の2種類が存在し、企業の状況に応じて選択可能です。
  • メリットとしては、経済性の向上、温室効果ガス削減、グリーンブランドの強化や市場リスクのヘッジ効果などが挙げられ、実際に複数の企業で成功事例が報告されています。
  • しかし、契約の複雑性、導入に向けた準備期間や社内調整、法制度上の制約、市場リスクなどのデメリットもあるため、導入前には十分な検討と専門家のアドバイスが不可欠です。

企業が将来的なエネルギーコストの変動リスクを回避し、持続可能な事業運営を目指すためには、コーポレートPPAの活用が有効な選択肢となります。導入を検討される場合は、オンサイト・オフサイトの各特徴を正確に理解した上で、自社の電力需要や設備状況、将来的なビジョンに合わせた最適な契約プランを選択することが成功の鍵です。
 
また、コーポレートPPAは単なる電力調達手段だけでなく、企業のCSR活動の一環としても位置づけられるため、再エネ導入による環境貢献と経済的メリットを両立させる点で大きな魅力を持っています。今後、エネルギー市場の変革が進む中で、各企業がどのような戦略で再生可能エネルギーの普及に貢献していくのか、注目が集まる分野と言えるでしょう。

>> 【法人のお客様向け】再生可能エネルギー由来の電力を組み合わせた環境配慮型電力プラン

記事をシェアする